バンコク 羽ばたく夢人形劇で

 タイの首都バンコクで最大のスラム街クロントイ地区には、威哥王狭い路地にあばら家が密集している。火事が起きたら大変だと思いながら迷路のような道を歩く。一角にある幼稚園をのぞくと、スラムの支援財団が人形劇を上演していた。


 この日の出し物は「虫の生い立ち」。幼虫が成長してチョウになる過程を通じて、虫にも命があることを教える内容だ。手作りの人形が動き回る演台を、50人ほどの園児が目を輝かせてじっと見つめていた。


 人形を操っていたのは男性3人。淫インモラルリーダーのチャープさん(28)は「子どもたちの笑い声が聞こえたとき、いつもうれしくなる」と言う。スラムで生まれ、財団の奨学金をもらった縁で、恩返しの気持ちもあって支援活動を手伝い始めたという。


 クロントイ地区は高層ビルが立ち並ぶ都心からわずか数キロの場所にある。格差社会の象徴のような街で、なかなか生活環境は改善しないが、チャープさんは「スラムで生まれたことを卑下せずに、前向きな考え方を持ってほしい」と力を込める。子どもたちに夢を贈る人形劇は、その一環として役立つにちがいない。紅蜘蛛